MACROSS Wiki
登録
Advertisement
マクロスシリーズ > デストロイド

デストロイド (Destroid) は、テレビアニメ超時空要塞マクロス』をはじめとするマクロスシリーズ作品に登場する架空の兵器

「Destroy(破壊)」と「Android(人型ロボット)」を組み合わせた造語で総称される、陸戦用二足歩行ロボットの兵器体系。

概要[]

デストロイドは1982年に発表された『超時空要塞マクロス』にて初めて登場した架空のロボット兵器である。マクロス世界の地球側メカニックはオーバーテクノロジーを用いた現代兵器の進化形であり、ロボット兵器の分類は航空機系のバトロイド(可変戦闘機)と、陸上機系のデストロイドに大別される。脚部を持ち二足歩行をするが、顔のようなパーツはなく、両腕には砲塔やミサイルポッドがついている。カラーリングもカーキ色オリーブドラブといった落ち着いた色をしたものが多く、戦車のような陸戦兵器としてデザインされている。『マクロスF』の小説版『マクロスフロンティア』では、「人型戦車」と書いて「デストロイド」とルビを振られている。

サブメカニックであるデストロイドは、主役機バルキリーが活躍する空中戦アクションの傍らで、「機動性の劣るやられメカ」として描かれることが多い。しかし、徹底したミリタリー意匠や、細身でしなやかなバルキリーに対し、重厚なデザインで独特のリアリティー溢れる存在感を放ち、『マクロス』のSF世界観を拡げている。

1980年代初期のリアルロボット作品においては、コンバットアーマー(『太陽の牙ダグラム』)、アーマードトルーパー(『装甲騎兵ボトムズ』)などとともに、ハードSF指向の「陸戦用量産兵器」というカテゴリーを開拓した。とくにデストロイドが画期的であったのは、戦略思想に基づく「砲撃型」「格闘型」などの機体バリエーションが揃えられていた点であった。各々の開発思想も述べられており、形状・機能なども合理的で、車体(下半身)を共用し、武器(上半身)を交換するというアイデアにも見所があった(これを活かし、タカトクトイスは組み替え式玩具「デストロイド・コンバージョンキット」を販売している)。巧妙な設定には、パワードスーツのイラストなどで知られるスタジオぬえの個性が十分に反映されていた。

これらのコンセプトは後の国内に限らず、米国ウォーゲームシリーズ『バトルテック』で意匠の流入が起こるなど、海外におけるロボット兵器の概念にも多大な影響を与えた(「メック(MECH)」の項も参照)。

なお、初代マクロスに登場するデストロイドのデザインはほぼ全て宮武一貴が行った[1]。デザインや愛称の大元は現存する戦闘車両で、モンスターはM50オントス自走無反動砲[2]、ディフェンダーはゲパルト自走対空砲[3]をモチーフにした。宮武によればデストロイドは玩具・プラモデルの商品化を前提としたもので、当時人気のガンプラが敵側のジオン軍中心だったため、味方(地球側)のラインナップが揃うよう様々なバリエーションを考えたという[4]。複雑なデザインも立体向けで、アニメではあまり動かさないことを前提としていた。それでも第27話「愛は流れる」ではモンスターをせめて1歩だけでも歩かそうと、メカ作画班が3カ月かけて格納庫の床板を踏み抜くカットを描いた。

劇中の設定[]

上記のように「アニメ本編で動かさない」ことを前提としたメカであるため、あまり目立つ活躍シーンはない。

1999年、地球に異星人の宇宙船が落下した。後に「マクロス」と名づけられたこの船は艦内の構造から、約10m前後の異星人のものと想像された。地球人類はこの異星人を仮想敵とし、これに対抗できる兵器の開発を模索した。デストロイドは統合陸軍の提案に基き、宇宙防衛ライン上の惑星・衛星上における拠点直衛兵器として2000年3月より開発が開始された。海軍・空軍が汎用機(バトロイド)開発に絞りこんだのに対し、陸軍はオーバーテクノロジーによる技術進化から、兵器体系を拡げる方針を採った。このため、各軍事メーカーによる開発競争の末、実に多様な機種が制式採用されることになり、作戦展開用の強襲揚陸艦ダイダロスも建造された。異星人に対抗するため地球を一つの政府の下に統合する「地球統合政府」の樹立が急がれ、「統合戦争」と呼ばれる統合軍とこれに対抗する反統合同盟の戦争が勃発、デストロイドの試作型も実戦投入された。

2009年、巨人族ゼントラーディ軍との開戦時、母艦ダイダロスごと宇宙に連れていかれたデストロイド部隊は、もっぱらSDF-1マクロスの手薄な対空砲火を補う移動砲台としての任務に従事する(艦内市街地の再建作業に駆り出されもする)。巨大宇宙戦艦同士が砲火を交え、衛星軌道上からの砲撃で惑星ごと殲滅するような戦局において、陸戦兵器本来の運用思想は意味を成さなかったのである。唯一、マクロスの強攻戦術ダイダロスアタックにおいてはその火力を存分に発揮し、陸軍のプライドを満たす活躍を見せる。

後年は可変戦闘機を中心とした運用体制の中で、機動力を欠くデストロイドは相対的に目立たない存在となっていく。2040年代には旧型機が土木重機に転用されたり、射撃訓練の標的にされたりしている。続編『マクロス7』の劇中ではデストロイドという呼称も廃れ、「バトロイド」と総称される。それでも、対地攻撃用という概念は可変戦闘機の系譜に交わり、可変攻撃機(バリアブル・アタッカー:VA)や可変爆撃機(バリアブル・ボマー:VB)などの亜種として生き永らえる。

2059年が舞台の『マクロスF』には軍事用デストロイドと作業用デストロイドが登場する。マクロス・クォーターの強攻戦術マクロスアタックでは、ダイダロスアタックを彷彿させる敵艦内部への一斉射撃を行う。また、主要キャラクターの一人カナリア・ベルンシュタインがVB-6 ケーニッヒモンスターを専用機として運用、CGアクションならではの豪快かつ重厚な動きを見せる。

2090年代を描いた『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』では、トマホーク、ディフェンダー、ファランクス、モンスターの発展型が登場する。この時代でも下半身を共通プラットフォームとする設計思想が継続され、下脚部のローラーで移動する仕組みはシャイアンと相通ずる(ただし、メカニックデザインとしてはこちらの方が先である)。

機種[]

型式番号は「型式名-シリーズ番号-タイプ」を表す。

03シリーズまでが試作型で、04シリ-ズの原型MBR-04-Mk.Iの名称「デストロイド」が全体をあらわす総称となった。系統は主にビガース社・クラウラー社が共同開発した04シリーズと、センチネンタル社・クランスマン社が共同開発した07シリーズがある。04シリーズは主機熱核反応エンジンと歩行制御システムを内蔵する下半身を共通プラットフォームとすることで、量産性・運用性の向上やコストダウンを図っている。例えるならトマホークが主力戦車、ディフェンダーが自走対空機関砲、ファランクスが自走対空ミサイルで、共通シャーシを用いたAFVのファミリー化と同じ発想といえる。

シャイアン[]

機体諸元
ADR-03-Mk.III シャイアン
設計・製造 センチネンタル・クランスマン共同開発
全高 9.87m
全備重量 25.9t(GAU-12×2装備型)
エンジン (主機)クランス・マッファイ ガスタービンエンジンAGT1200
(副機)GE EM9G 燃料発電機
エンジン出力 (主機)1,200SHP
(副機)450kW
武装 GAU-12 25mm 5砲身ガトリング機関砲×2
RIM-116 4連装ミサイルランチャー×2
(GAU-12とRIM-116は選択式)
7.6mm機銃砲塔

2008年を舞台にした『マクロス ゼロ』に登場。型式はADR-03-MkIII。04シリーズの前身といえる初期のデストロイドで、トマホークとディフェンダーの中間型。統合戦争末期の2008年にプロトカルチャー遺跡争奪戦において、統合軍が実戦投入した。

両腕にGAU-12 25mm5砲身ガトリング砲を装備する。腕部はガトリング砲の後方にVF-0と同型のマニピュレーターと、精密作業用の小型マニピュレーターを搭載しており、作業時には回転させて使用することもできる。また、腕部は4連装対空ミサイルランチャーに換装することも可能。股間部には対人用の7.6mm機関砲塔を搭載している。

CVN-99空母アスカIIの艦載機として配備された。艦上では対空砲座に固定されているが、近距離戦闘時は砲座から射出され、脚部のローラーにより甲板上を高速移動する。背部ロケットモーターにより短時間のホバリング移動も可能。

オクトス[]

機体諸元
オクトス
設計・製造 ダイムラー・ハイパースペース社
ルビーン海洋工学中央科学局
全高 11.2m
全備重量 55.15t
エンジン 水中用大容量燃料電池クラスター
陸上用ディーゼルターボエンジン
後期型は反応タービンエンジン
武装 12.7mm連装ビーム機銃砲塔×1
ビフォーズ57mm多用途連射砲×1
8連装ミサイルランチャー×1
対人機銃

『マクロス ゼロ』に登場。反統合同盟の水陸両用可変デストロイド。反統合支持派のダイムラー・ハイパースペース社とルビーン海洋工学中央科学局の共同開発によって2006年に1号機が完成した。生産コストの関係から生産は少数に留まったが、統合戦争では計92機が生産され、戦争末期のプロトカルチャー遺跡争奪戦にも投入された。

水中では手足を折り畳んだ潜水艦形態で行動し、上陸後は四肢を展開して四足歩行の重装砲撃形態となる。水中での最大速度は約40ノット。陸戦四脚形態時は不整地では最大時速45kmで四脚歩行するが、脚部には整地移動用の車輪も装備されており最大時速95kmで移動できる。この脚部はクローハンドを備えており、水中では格闘用に使用することもできる。後期型には小型の反応タービンエンジンが搭載されたことで水中での移動速度最大45ノットに上がり、エネルギー転換装甲を稼動できるようになった。統合戦争後は統合軍により28機が生産されたと言われているが、ゼントラーディとの第一次星間戦争によって生産ラインが破壊されたためその後は存在が確認されていない。

プロトタイプ・モンスター[]

機体諸元
HWR-00-Mk.IP プロトタイプ・モンスター
設計・製造 ビガース/センチネンタル社共同開発
全高 22.2m(砲先端まで)
全備重量 252.5t
エンジン (主機)ギャランド WT1001 熱核反応炉
(補機)新中州重工 CT6A 熱核反応炉×2
エンジン出力 (主機)11,500SHP
(補機)380SHP×2
乗員 3名
武装 ビガース40cm液冷式液体推薬キャノン砲×4
内蔵式レールガン×2

『マクロス ゼロ』に登場。ビガース/センチネンタル社が共同開発した、HWR(Heavy Weight Robot)-00モンスターシリーズの先行試作型。形式番号はHWR-00-Mk.IP。2007年2月にロールアウトし、統合戦争末期の2008年、プロトカルチャー遺跡争奪戦において、統合軍が1機のみ実戦投入した。

両腕には砲撃時の反動制御用クローハンドが付いている。『マクロス ゼロ』劇中では使用されなかったが、設定では腕部には片側3基のレールガンを内蔵しており[5]、『マクロスアルティメットフロンティア』ではこの仕様が再現されている。頭部に4門装備されたビガース40cm液冷式液体推薬キャノン砲は砲身にOTM素材を使用することで約160kmという驚異的な射程距離を実現しており、爆発力調整型反応弾頭を装填可能。また、監視衛星とリンクすることで、着弾時の誤差を10m以内に抑えることができる(神の眼)。

映像化以前の設定によれば、Mk.Iは当初両腕の無い状態(通称「ロングトム」)としてロールアウトしていたとされている。その後にクローハンドを装着しこの状態(P型)となり、さらに生産型(Mk.II)のロールアウト後は相次いで本機も同じ仕様に改装が施されていったようである。

トマホーク[]

機体諸元
MBR-04-Mk.VI トマホーク
設計・製造 ビガース/クラウラー社共同開発
全高 11.27m(頭部まで)
全備重量 31.3t
エンジン (主機)クランス・マッファイ MT828 熱核反応炉
(副機)GE EM9G 燃料発電機
エンジン出力 (主機)2,800SHP
(副機)450kW
乗員 2名
武装 PGB-11 荷電粒子ビーム砲×2
M-89 空冷マシンガン×2
TZ-III ガンクラスター×2
(レーザー砲、機関砲、火炎放射器など)
12連発ロケット弾ランチャー×2
6連発対空自己誘導ミサイル×1

2009年を舞台にする『超時空要塞マクロス』に登場する重装砲撃型デストロイド。型式名MBR(Main Battle Robot)は現用の主力戦車、MBT(Main Battle Tank)に由来する。機体前面に各種武装を配し、集中的火力により中・近距離域の敵陸上兵力を殲滅する。

Mk.IVは初めて制式採用されたデストロイドシリーズの主力機であり、MK.Iの両腕を荷電粒子ビーム砲に置き換え、更なる火力向上を図っている。格闘能力の低下は、胸部ガンクラスターの機関銃やグレネードランチャー、火炎放射器などの近接兵器で補っている。肩腕部はウェポンベイとして随時換装可能で、04系の特徴である上半身の独立した燃料発電機により稼動する。Mk.VIは出力強化型で、右肩にエリコーン対空自己誘導ミサイル6連発オプションパックを装備している。

主力戦車的な機体であり、6連対空ミサイルを持つとはいえ04系の中ではマクロス艦上ではもっとも防空任務に不向きであったが、ダイダロスアタック時には最前列に陣取り、水平方向への強力な攻撃力を見せつけた。

カメラアイをおおう偏光シールドは、試作型と先行量産型は赤色系の光を外部に反射するが、量産型では緑色系の光を反射する等、初期型と後期型では仕様の差異が存在する[6]

マクロス・ザ・ライド』ではコストパフォーマンスの良さが評価され、近代化改修された機体が2058年のマクロス・ギャラクシー所属機として登場する。

ディフェンダー[]

機体諸元
ADR-04-Mk.X ディフェンダー
設計・製造 ビガース/クラウラー社共同開発
全高 10.73m(アンテナまで)
全備重量 27.7t
エンジン (主機)クランス・マッファイ MT828 熱核反応炉
(副機)GE EM10T 燃料発電機
エンジン出力 (主機)2,800SHP
(副機)510kW
乗員 1名
武装 TYPE966 PFG 78mm液冷高速自動砲
(通称コントラベスII)2連装×2

『超時空要塞マクロス』に登場する対空迎撃型デストロイド。型式名ADRはAnti-air Diffence Robotの略称。近代兵器の対空戦車に相当する。

04シリーズの発展的運用型のひとつで、両腕の2連対空砲から大口径78mm弾を1砲身あたり毎分500発(4門計毎分2,000発)発射可能。弾帯は両肩部の交換式弾倉から供給される。宇宙空間での超遠距離射撃を目標とした精密なレーダー照準システムが搭載されるが、接近されると追尾が追いつかず‘後追い射撃’となってしまう弱点がある。そのため効果的な対空射撃ができたとは言い難い。またコスト面で量産の妨げとなり、機体配備数は伸びなかった。

艤装作業前に緊急発進したマクロスでは、脆弱な防空火力が課題となった。ディフェンダーは代わりにその砲座に配置され、バトルポッドなど敵機動兵器の迎撃に当たった。

ファランクス[]

機体諸元
SDR-04-Mk.XII ファランクス
設計・製造 マクロス艦内兵器工廠
全高 12.05m(サーチライト上端まで)
全備重量 47.2t
エンジン (主機)クランス・マッファイMT828 熱核反応炉
(副機)新中州重工CT03 小型熱核反応炉
エンジン出力 (主機)2,800SHP
(副機)970kW
乗員 1名
武装 SHIN-SHM10 短射程高機動自己誘導ミサイル 22発ポッド×2
(通称:デリンジャー22連装ミサイルポッド)
探知兵器 テクスコ・DARDA-3C 電子系破壊用
グレーザ・レーダー

『超時空要塞マクロス』に登場する宇宙用近接防空型デストロイド。型式名SDRはSpace Diffence Robotの略称。地対空または艦対空迎撃ミサイルランチャーに相当する。宇宙用とされているが、地上での運用も確認されている。

地球帰還途中のマクロス内で、防空力補強の応急策として、懐に入られると何もできないディフェンダーの弱点を補うべく急遽開発され、2009年7月にロールアウトした。対空射撃を掻い潜って急速接近する敵機に対し正面からミサイルの弾幕を張るというショートレンジの迎撃が任務である。デストロイドの歩行系剰余パーツを使い、単純な撃ちっ放し式ミサイルポッドを付けた簡素な設計で、さらに劇中では頭部の形状が異なる機体が存在したりと、「現場合わせ」の間に合わせの機体の感が強い。しかし副機にも反応エンジンをもち、大型推進ノズルを吹かせば短時間の高機動運動が可能であり、稼動レンジは極めて狭いが、コストパフォーマンス的には一応の成功作といえた。

なお、胸部内のガンマ線照射式レーダーは、最大ボリュームで敵機に向けるとパイロットを焼殺することができる。地球人同士の戦争では非人道的兵器とみなされるが、異星人との交戦下では使用された模様である。

スパルタン[]

機体諸元
MBR-07-Mk.II スパルタン
設計・製造 センチネンタル/クランスマン社共同開発
全高 11.31m(肩まで)
全備重量 29.4t
エンジン グゲンハイマー DT2004 熱核反応炉[7]
エンジン出力 3,200SHP
乗員 1名
武装 TZ-IV ガンクラスター×1
(レーザー砲、機関砲、火炎放射器など)
RQV-10 対空レーザー機銃×2
ビフォーズ12連発近接自己誘導ロケット弾ランチャー×2
CH2 typeD 格闘用クローハンド×2

『超時空要塞マクロス』に登場する近接格闘型デストロイド。異星人との肉弾戦を想定した歩兵的機体。Mk.Iに対空火器を付加したのがMk.IIで、のちにMk.Iも全機この仕様に改装された。

04系と異なる設計思想をもつ07系は、高出力の反応動力炉1基で駆動する。副動力を除いて軽量化し、重装甲と敏捷な運動性能を両立した。両腕が火砲又はミサイル・ポッドとして機能し、腕の可動部は歩行中の重心バランス維持の補助的な意味合いしかない。デストロイド中では珍しく両手は五指のマニピュレーターになっており、バトロイドほどの器用さは無いものの、物を掴むことぐらいは出来る。腰部の複雑な動力伝達系の故障と主機DT2000シリーズの開発遅延から、04系のようなバリエーション展開は叶わなかったが、理想主義的な高性能はパイロットから評価された。これら07系の設計思想はセンチネンタル社が係わるバトロイドの開発にもフィードバックされた。

実際の格闘戦でも、ひとまわり大きい敵戦闘ポッドおよびバトルスーツ相手に健闘したが、むしろ戦後統治下のゼントラーディ人不満分子の鎮圧活動における活躍が目立った(第34話では主人公一条輝が搭乗している)。この際には専用の暴徒鎮圧用棍棒を保持していた。

モンスター[]

機体諸元
HWR-00-Mk.II モンスター
設計・製造 ビガース/センチネンタル社共同開発
全高 22.46m(砲先端まで)
全備重量 285.5t
エンジン (主機)ギャランド WT1001 熱核反応炉
(副機)新中州重工 CT8P 燃料発電機
エンジン出力 (主機)11,500SHP
(副機)890kW
乗員 3名(機長、砲撃手、操縦手)
武装 液冷式 40cm液体推薬キャノン砲×4
LSSN-20G 3連対地ミサイルランチャー

×2

『超時空要塞マクロス』に登場する超長距離砲撃型デストロイド。型式名HWRはHeavy Weight Robotの略称。「移動式の大口径砲」という思想は、前世紀の大戦時の列車砲に相当すると思われる。

オーバーテクノロジーの恩恵を授かった陸軍が「異星人の巨大兵器を大火力によって撃退する」という大時代的発想のもと、約五年の歳月を費やし開発に固執した史上最大の非軌道陸戦兵器。そのせいか、軍部が本機をいったいどのような局面で使用するつもりだったのか、開発目的が不明確で、保有したいがために開発した感が強い。世間には政府が戦意高揚の為に製作した映画「明日からの勇者たち」(過去にタイムスリップした統合兵士たちが本機の大火力をもって侵略火星人を撃退するというB級作品)にて使用され有名となった。とは言え実際に攻撃力はすさまじく、陸上兵器としては随一である。40cm主砲4門には反応弾頭も装填可能で、数個師団による戦略爆撃に匹敵する威力を謳った。しかし285tもの自重で2足歩行するのは極めて困難で、小型の重力制御装置でアシストされても運動性は劣悪である。一応、走ればそこそこのスピードは出せるが「巨体の割りに」という修飾語が付く。マクロス艦内では歩くだけで甲板を踏み抜いてしまうため、普段はホバリングでの低速移動を余儀なくされていた。マクロス進宙当時で二機が完成。さらに艦内において三機目が完成した。のちに体制が整い増産も行われたというが、護衛部隊なしでの作戦行動は自殺行為とみなされ、総生産数は少数に留まった。マクロスではその大火力を副砲代わりに用いていた他、TV版第6話での『ダイダロスアタック』使用時には、3機のモンスターがトマホーク部隊と共に敵戦艦内部を攻撃している。

2040年の次期主力可変戦闘機選定トライアル「プロジェクト・スーパーノヴァ」にて実弾テストの標的にされた際は、YF-19 のオプション火器によりその巨体を一撃で破壊されてしまう。なお、『マクロス7』第14話に登場する民間機は元SDF-1マクロス所属の「モンスター01」で、所有していた老人ホームの元軍人3名は当時の搭乗クルーである[8]

ケーニッヒ・モンスター[]

2050年を舞台とする『マクロス VF-X2』にて初登場。後に2059年を舞台とする『マクロスF』にも登場する機体。

VB-6ケーニッヒ・モンスターはデストロイド・モンスターを可変爆撃機(VB)として再設計した機体。デストロイド形態、重ガウォーク形態、シャトル形態と三段変形可能。2030年に開発が開始され、2032年に生産が開始された。2040年にはフロンティア船団のS.M.Sに配備され、その後も各所のアップデートにより2059年においても実戦参加している。

詳細はVB-6 ケーニッヒモンスターを参照

アナベラ・ラシオドーラ[]

マクロスVF-X2』、『マクロスF』の短編小説「ワイヤード・ウォーリア」(『マクロスF フロンティア・メモリーズ』に収録)に登場。ゼネラル・ギャラクシー社地球本社が2040年代に開発した大型の都市殲滅用デストロイド。6本の脚部を持ち、高い機動性と火力を誇る。GFS-A2複合装甲は35mm機関砲では傷ひとつつけられない程の重装甲である。惑星ネバーでの使用が確認されている。

スーパー・ディフェンダー[]

機体諸元
ADR-04-Mk.XV スーパー・ディフェンダー
設計 ビガース/クラウラー/ゼネラル・ギャラクシー
全高 10.73m
全備重量 25.2t
エンジン (主機)クランス・マッファイ MT1333 熱核反応炉
(副機)GG EM165 水素吸蔵合金燃料発電機
エンジン出力 (主機)3,500SHP
(副機)950kW
武装 TYPE966D PFG 二連78mm液冷高速自動砲 " コントラベス II " ×2
M161A3 六砲身35mmガトリング砲 " フィドル "×2
選択追加武装 UUM-7 マイクロミサイルポッド×2基又は×4基
防御用兵装 チャフ・フレアー・スモークディスチャージャーシステム一式

大規模な複数の移民船団や植民惑星が常態となった西暦2058年を舞台とした『マクロス・ザ・ライド』に登場する、対空迎撃用の第二世代型デストロイド。

ADR-04-Mk.X ディフェンダーを宇宙移民時代の技術で再設計した機体。頭部のレーダーが2053年に開発されたGRU-53に換装され、AVF用の技術を転用したリニア・アクチュエーターを搭載している。射撃支援用AIもアップデートにより目標追従性が向上しており、毎分4,000発の40mm(諸元表では35mmと記載)ガトリング砲弾の連射により、カタログ・データではこの当時の新統合軍で制式採用されているVF-171 ナイトメアプラスすら撃墜できるとされている。

腕部の兵装はADR-04-Mk.Xと同様の二連78mm液冷高速自動砲「コントラベスII」か六砲身ガトリング砲「フィドル」のいずれかを選択装備する。2種の混成装備も可能。また、追加武装としてガトリングの上下にUUM-7 マイクロミサイルポッドを搭載した機体も存在する。

マクロス・ギャラクシー企業軍で使用されている。

シャイアンII[]

機体諸元
(形式番号:不明)シャイアンII
全高 9.87m
エンジン(前期型) (主機)クランス・マッファイ MT808 熱核反応炉
(副機)GE EM9G 燃料発電機
エンジン出力 (主機)3,550SHP
(副機)573kW
エンジン(後期型) (主機)クランス・マッファイ MT901熱核反応炉
(副機)GE EM12A 燃料発電機
武装 GE製30mm6銃身ガトリング砲×2
マウラーPBG-17 荷電粒子ビーム砲×2
ビフォーズAA/AS-SAM-22対空近接ミサイル
4連装ランチャーMK.16×2

2059年を舞台にする『マクロスF』に登場。シャイアンを宇宙移民時代の最新技術で全面再設計した機体。外見は原型機の面影を残しているが、主機が熱核反応炉に換装され、宇宙戦闘を想定したスラスターの増設強化が行われている。主武装は両腕のGE製ガトリング砲と荷電粒子ビーム砲で、両肩にはミサイルポッドを装備している。両腕の火器は火炎放射器に換装可能。

2050年代のマクロス・フロンティア船団では艦内での防衛やマクロス・クォーターの対空防衛を担う。また、SDF-1マクロスのダイダロスアタックのようにマクロス・クォーターのマクロスアタックでは艦内からの砲撃を行う。

ワークス[]

「デストロイドワーク」とも呼ばれる。シャイアンIIから武装を撤去し、民間用の作業重機として再設計した機体。両肩に回転灯が追加され、両腕の武装はマニピュレーターに換装されている。『マクロスF』劇中では、バジュラに襲撃されたフロンティア船団各居住艦の消火作業や瓦礫の除去、バジュラの死骸の運搬などに使用される。

『劇場版マクロスF イツワリノウタヒメ』では「超時空重機展」に巨大ドリルを持って出展されている姿が確認できる。

トマホーク Mk.II[]

2090年代を舞台とする『マクロスII』に登場。トマホークを発展させた重装撃破型デストロイド。「トマホークII」とも呼ばれる。両肩に長射程ビームキャノン2門、両腕にビームキャノン2門とレールガン2門、両足にはグレネードランチャーを備えるなど、火力がより強化されている。脚部にはローラータイヤを装備し、機動性が向上している。マルドゥーク軍との戦いで実戦参加する。

ディフェンダー EX[]

『マクロスII』に登場。ディフェンダーを発展させた対空迎撃用デストロイド。両腕に対空用レールガン2門を装備。左腰にはミサイルポッドを、右腰には2連装の実弾砲を装備している。頭頂部にはカメラやアンテナを含む複合センサーユニットが搭載されており、探知能力に優れる。移動用ローラーには射撃時の姿勢安定プレートが付いている。

ファランクス(改)[]

『マクロスII』に登場。ファランクスを発展させた近接防御用デストロイド。改と言っても形状は原型機とは大きく異なり、左右の腕に六角形のミサイルブロック(対空ミサイル14発×3)を2基ずつ装備する(計168発)。ブロックはそれぞれ独立して仰角を変えることが出来る。脚部にはローラータイヤを搭載している。

ジャイアント・モンスター[]

『マクロスII』に登場。モンスターを発展させた超大型デストロイドで「モンスターII」とも呼ばれる。サイズに関する数値設定は発表されていないが、「マクロス・クロニクル」36号11ページのサイズ比較表では全高25mに届いている。

機体上部の大型砲塔に長砲身キャノン砲6門(従来のモンスターシリーズの主砲はいずれも4門だった)を装備し、砲塔全体が水平方向に可動する。両腕部には中型キャノンを4門ずつ計8門装備、腰部にはミサイルポッドを装備しており、非常に高い攻撃力を有する。

脚部には大型のホバークラフト機構があり、重力制御装置と併用して地表を浮上移動する。また、宇宙空間ではリニアレール方式で甲板上を移動する。しかし機動性は決して高いとは言えず、長距離砲撃用の移動砲台のような役割を果たす。また、作戦時にはトマホーク型の護衛機を必要とする。

海外反響と『ロボテック』版[]

日本国外では「戦闘ロボットはキャラクター性を持った自己の投影」ではなく、「戦闘車輌などの各種機械の延長線上にある」と一般的には解釈される欧米人の嗜好に一致したこともあって[9]、デザインを無許可流用した初期のバトルテックゲームなど、比較的知名度の低い日本よりも人気が高い。

ハーモニーゴールド USA 社(Harmony Gold USA)がライセンス取得、同一世界の異なる時代と世代を描いた、連続するひとつの大河ストーリーとして翻案、再編集された作品である『ロボテック』版では、宮武一貴のデザインのうち、完成度の高かった重バトロイドのデザインを採用した、「MBR-08 デストロイド・マサムネ」(Masamune)[10] や、決定稿のMk.II[11] のRQV-10 対空レーザー機銃がないという点と、アストラ(Astra) TZ-IV ガン・クラスター部がなく「カメラアイ」になっているのを大きな相違点とする準備稿デザインを採用した「デストロイド・スパルタン Mk. I」 [12]、宮武による、中距離拠点・個別艦防御用「LDR-04 マーヴェリック」[13]、完全新規デザインである、デストロイド・モンスターの小型版である「HWR-03 デストロイド・サンダー・クラッカー/俗称:リトル・モンスター」(Thunder-cracker / Little Monster) [14]長距離砲撃直協支援用「HWR-04 ティーガー / 俗称:コンパクト・モンスター(Tiger / Compact Monster) [15]、が ウォルトリップ兄弟作画による漫画版『ロボテック II:センチネルズ』や、パラディウム(Palladium)社のTRPG[16] に登場する。

企業名に関して[]

マクロスシリーズに登場する大半のメカデザインを担当したスタジオぬえのスタッフが種々の事情から実在の企業名をもじったアナグラムを施した架空の企業名を設定したのに対して、ロボテック・シリーズにおいては、これを解読・復号(デコード)した現実に存在する企業名、或いはかつて存在した実在企業名を使用している。

我々の現実世界においては、冷戦の終結に伴う大規模戦略兵器の陳腐化に伴う軍縮・軍事予算削減の流れとテロ支援国家の暗躍による国際情勢の変化にあわせて多くの軍需産業の買収や統合合併による再編、あるいは国営企業化が成されたが、「ロボテック・シリーズ」世界では視聴者の混乱を嫌って、物語の開始設定年代(1999年)での実在企業名の大半がそのまま存続している設定となっている。

この我々の現実世界との相違に関しては、日本版の「マクロスシリーズ」自体が「メタフィクション」であるというシリーズ構成にならい、主要な連続性作品においては、ロボテック世界の中での「史実の一部」を表現したもの(「二次的連続性作品」においてはパラレルワールド世界中の史実の解読表現)であるとハーモニーゴールド USA社側は説明している。

以下に本記事に登場する開発・製造企業名アナグラムの解読・復号例を示す。

ヴィッカース plc(ビガース)
Vickers plc1977年にヴィッカース・アームストロング社より分離独立し、軍用車輌を開発製造。1999年にロールス・ロイス plc社により買収され、2002年に軍用車両部門であるヴィッカース・ディフェンス・システムズはアルヴィス plcへ売却された。
そのアルヴィス plc社も2004年にBAEシステムズ社に買収され、BAEシステムズ・ランド・アンド・アーマメンツ社となり、これまで部門の名称として残っていたヴィッカースの名はこのときをもって消滅した。
クラウス=マッファイ・ヴェクマン (クランスマン)
クラウス=マッファイ・ヴェクマン ( Krauss-Maffei Wegmann GmbH & Co KG, 略称KMW )社は、クラウス=マッファイ社の兵器部門が1999年にヴェクマン(独:Wegmann & Co.)社と合併して設立され、主にレオパルト1(1963年から)、レオパルト2(1973年から)などの主力戦車や、ゲパルトなどの自走砲の生産も行なっている。
コンチネンタル (Continental AG, 略称コンチ)(センチネンタル)
自動車部品製造が主な産業部門であるが、車輌系兵器の開発にも携わる。 航空機エンジン製造部門はテレダイン・コンチネンタルモータースTeledyne Continental Motors)として「VF-1 バルキリー」の副機(液体ロケットブースター)開発にも関与。
クライスラーグループ(Chrysler Group, LLC) (クラウラー)
クライスラーディフェンス社は1982年にジェネラル・ダイナミクス (General Dynamics Corporation、NYSE: GD)社に買収され、現在は「ぜネラル・ダ イナミクス・ランド・システムズ」社としてM1エイブラムス主力戦車の製造と改良を行っている。

脚注[]

  1. スパルタンのみ別系統という設定で河森正治、『超時空要塞マクロスII』は福地仁、『マクロス ゼロ』以降は石垣純哉
  2. 『マクロス劇場版スペシャルプレビュー 愛・おぼえていますか』 1984年 小学館 p74
  3. 『宮武一貴 マクロス&オーガスデザインワークス』 MOVIC 2005年 p9
  4. 『セガサターン 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 公式ガイドブック』 1997年 小学館 p95
  5. 「マクロス・クロニクル」50号6ページ
  6. 『マクロス ホビーハンドブック』 1983年 小学館 p6
  7. 一部資料の「グゲンハイマー・ロイ」は、「DT」の印刷擦れによる読み間違い。
  8. 『マクロス7 第4巻』 ビデオ/LDライナーノーツより
  9. 参照:ソニーコンピューターサイエンス研究所でロボット犬、アイボ (Aibo)の人工知能開発に7年間携わったロボット工学者、フレデリック・カプラン氏(32歳)が 日本と西欧におけるロボット観の違いを語る。
  10. 参照:遠征艦隊軍 (UEEF)・海兵隊 MBR-08 デストロイド・マサムネ【Masamune】-ロボテック・クロニクル-
  11. ただし、みのり書房『マクロス・パーフェクト・メモリー』を始めとして日本版各種資料でも準備稿を「Mk.I」とする記載あり。
  12. [1]
  13. 参照:LDR-04 マーヴェリック(Maverick)
  14. 参照:遠征艦隊軍 (UEEF)・地上軍装備 HWR-03 サンダー・クラッカー/リトル・モンスター【Thunder-cracker / Little Monster】-ロボテック・クロニクル-
  15. 参照:遠征艦隊軍 (UEEF)・長距離砲撃直協支援用 HWR-04 ティーガー / 俗称:コンパクト・モンスター(Tiger / Compact Monster)
  16. 参照:RPG関係出版物(パラディウム社)-ロボテック・クロニクル-

テンプレート:脚注ヘルプ

Advertisement